【スタッフブログ】vol.81「ニコニコホールのステージの床の話」(堀田くん)

「ニコニコ本陣スタッフ通信」vol.81

こんにちは、道の駅日光の堀田です。

今回はニコニコホールのステージの床の話
前回の客席の床と壁の話はこちら→https://www.nikko-honjin.jp/archives/17316

ニコニコホールのステージの客席から見える部分はすべて無節のヒノキ無垢材のが使用されており、袖はコンクリートの上にリノリウムが貼られています。
ヒノキの床材は建材としては最上位の物との事で節が無く色目も統一されており新築当時はとても美しかった記憶があります。

ただこの檜舞台とてもかっこ良いのですが舞台の床材として使うのはとても気を使います。
ビニルテープを使ったら半日でノリを吸って跡が残るし、養生テープでも床が負けてささくれてしまいます。また、板1枚がウン万円するらしい(建設当時)ので釘打ちも厳禁ですし、舞踊や殺陣などで床を突くのも寸止めでお願いしています。

ですので客席と同じくバミリの際は内装用のマスキングテープ、固定の際は「Nitto No395N」さくら色の養生テープ、人形などの固定は鎮(しず)を使用してください。

更にステージの下は収納になっており客席の前2列や椅子や机などの備品が入っています。
のでステージの床下は空洞になっており表面のヒノキ部分含め厚さ5cm程度、床面耐荷重は不明ですが台車込約500kgのピアノを3輪の台車で運べたのでそのくらいなら大丈夫そうです。(運ぶたびにバキバキ音が鳴りますが)ただ、ピアノの足を直接置くと床が凹んでしまうためインシュレーター(お皿)は必ず使ってください

檜張りで床下空洞と言うと所作台のようなイメージなるかもしれませんがそんなきれいな音はでません、ドコドコ音が鳴るだけです。

メンテナンスについて

無垢材なので掃除はモップによる基本からぶきです、日舞などで使う際は使用日の少し前に水拭きで雑巾がけをしたりします。
家庭用のヒノキ材なら素足で歩くため人の脂を吸って時間がたつほどきれいな艶が出たりやわらかい部分が沈んで美しい木目が出たりしますが舞台はそうはいきません、いろんな人が土足で歩き回るため真っ黒になってしまいます。

なるべく気を付けていますがたまに重いものを落として床が凹んでしまうことがあります。その場合は濡れたタオルをしばらくあてて板をふやかし、その上からアイロンを充てると少し良くなる気がします。範囲が広くて目立たないへこみは、1年たてば湿気を吸って吐いてするのでだいたい直ります。
もし板がささくれるくらいの傷なら、ささくれた部分を切ったり削ったりし剥がれた部分を木工用接着剤などで止めてごまかします。しばらくすると剥がれてしまいますがその頃には傷の周りも馴染んで目立たなくなっています。

床の伸縮について

ニコニコホールの湿度(換気湿度)は夏場は99%以上冬場は30%以下と年間を通してかなり上下します。
それに合わせ床も伸縮します、具体的にはステージの上手から下手まであわせて夏冬で2cm以上伸びしています。
板1枚でも冬場は乾燥して縮んで反り返り板と板の隙間が5mm近く空いてしまうこともありますし、夏場は湿度により膨らんで板中央部分が盛り上がってしまいます。
なので冬場に小石などが隙間に挟まってそのまま夏場を迎えると板が割れてしまいます、なので春ごろは特に隙間の丁寧な清掃が必要です。

ちなみに1年目の冬に神事で撒いたお米が隙間に挟まったまままだ埋まっています、何となく縁起が良さそうなのでそのままにしていますがもし暇な方が居たら探してみてください。